会社経営、政治家、個人経営者など、初代の財産を受けて、引き継いでいる人たちは多い。匠の技術を継承する老舗もまたしかりである。
先代の心意気を引き継ぎ、時代の風をうまく見極めながら、流れを読み、その風を上昇気流にしながら、どのように受け継いだ技を守り発展させていくか。引き継ぐ者により、更なる飛翔をとげる者もあれば、先代の財産を食いつぶし、時代の波にのまれていく者もいる。
このお店は、2代目だ。このお店は、見事なまでに、初代の心意気を継承し、飛躍し発展させている。先代の味をただ踏襲するだけではなく、二代目オリジナルな味を確立させ、時代の大きな潮流というビックウェーブをうまくとらえ、新たなる時代の声に即応したお店・らーめんの味へと昇華させている。
このお店の名前は、「めん徳 二代目 つじ田」。
このお店の名前を聞いて、すぐ一代目と場所が浮かんだ方は、相当のレベルのラーメニストだろう。とにやんは、この名前は、知らなかった。15年前に初代は、高円寺で相当の実力のあったお店だったようだ。つまり、15年ぶりに今年の2月に千代田区に復活したというわけだ。
ここの2代目は、24歳の若武者である。居酒屋を経営していたそうだ。ラーメンベンチャー起業家といったところか。最近では、20代のらーめんや店主が増えていることも大きな特徴だ。
さて、このようなお店にとにやんは、足を運んだ。しかし、1度目は、見事にふられる。まだ、閉店前にもかかわらず、お店の前の看板は、「スープ切れのため」とのこと。トホホ。ふられるとどうしても忘れられないものだ。「時間を見つけていきたい。このらーめんを食べずにはいられない。いや食べずにはおかない。」とまでおもってしまうとにやんは、見事にらーめんの魔力にはまっている。
日を改めてお店に向かう。こうなるととにやんは、らーめんに恋焦がれてしまう。「どんならーめんなんやろ。写真から想像するに、相当濃厚そうだが、マイルドっぽいな。麺は、どこの製麺会社なんだろうか。いやいや自家製麺かもしれない。う~ん。」こんな感じである。
さて、こんなことを考えているうちにお店の前にたどり着く。お店の店構え「和」が垣間見えるらーめんやのつくりとなっている。車で通ったら、ここがらーめんやと気がつく人はすくないかもしれない。
今日は、お店は、あいてるな。「おーし。」気合十分。店内に入る。食事時の時間をはずしたにもかかわらず、店内は一杯。席は、8席(たぶん)しかない。この席を見る限り、こだわりをもって丁寧に一杯ずつお客さんに提供しているつくりとなっていることが想像できる。
店内を見渡すと1つの疑問が。かなり、古い旭川らーめんの暖簾が。これは、先代のものだろうか。ただ、らーめんをみるかぎりでは、旭川ラーメンだとは、想像はつかなかった。
さて、とにやんは、「2代目らーめん」を注文。しばらくまつ。その間に、麺箱をながめると、カネジン食品となっていた。自家製麺ではないようだ。テーブルをみると。「??おっ。なんだこれは?」黒七味とある。よく見ると京都の老舗のものだ。1700年代前半創業の由緒ある唐辛子だ。とにやんは、木箱に入っている唐辛子を手に取りなめてみると、山椒や青海苔なども入っており、豊かな深みのなる味だ。単に辛いというとんがった味ではなく深みのある今まで味わったことのない唐辛子がおいてある。これにあうラーメンとはどんなものだろうか。
そうおもっているとらーめんが目の前に。おー。これは、良い香りだ。これは、昆布の香りかな。聞くところによると羅臼昆布をはじめ4種類をブレンドしているとのこと。これは、期待できる。スープをすする。いや~。これは、思ったよりマイルドに仕上がっている。スープは、濃厚で舌にまったりとまとわりつく感じだ。魚の強烈な味がズトンと口の中にきて、その後にマイルドな味わいがふわっと口の中に広がる感じだ。
麺をすする。うん。このスープに良くあっている。うまいですよ。チャーシューは、個人的には、少ししょっぱいかな。食べ進むうちに、例の黒唐七味を入れてみる。これまた相性が良い。不思議にも辛さは、増すわけではなく、マイルドが更に増す感じだ。あらら。よくスイカに塩を入れて、甘さを増す効果をするが同じようなことかな。
これからが非常に楽しみなお店であることは、間違いない。初代の伝説を超える新たな2代目伝説の扉を開く戦いが今始まっている。
めん徳 二代目 つじ田
最寄駅: 麹町
住所: 東京都千代田区平河町1-4-11
紀尾井町交差点角。
営業時間: 11:00~13:00、18:00~20:00
いずれもスープ切れ終了
休日: 日曜
メニュー: らーめん680円 二代目らーめん880円など