心に残る書籍シリーズを少しずつですが紹介していきたいと思います。
学生時代に本をよく読んだが、そのうちの心に残る書籍の1つがこの夏目漱石の「私の個人主義」。
講演や座談の天才と呼ばれた漱石。その漱石の講演内容は時代を超えても色あせない哲学が根底にある。
この中には、「私の個人主義」「現代日本の開化」「道楽と職業」「中味と形式」「文芸と道徳」と夏目漱石の5つの講演が収められている。
その中でも学生時代に感銘を受けたのは、「私の個人主義」で学習院で講演をしたときの内容だ。他人本位を排し、自己本位の確立を訴え、こだわりをもって、苦しみながらも自分の足下を堀り鉱脈へぶちあたるまでやり遂げることの大切さとそして、権力、金力にもふれていてる。
文中では、論旨のまとめとして、
「1.自己の個性の発展を遂げようと思うならば、同時に他人の個性も尊重しなければならないこと。
2.自己の所有している権力を使用するならば、それに附随している義務というものを心得なければならない。
3.自己の金力を示そうと願うならそれに伴う責任を重んじなければならない。」としている。
更に、この3つを自由に受け楽しむためには、その3つのものの背後にあるべき人格の支配を受ける必要が起こってくる。」と述べています。
ちょうどこの本を読んだときに、学生で、講義内容も学生を対象にしていたこともあり、非常に強い印象を受けたことを覚えています。